みんなで星を見上げれば...

星を見ることを忘れてしまった人々の行く先に希望はあるのだろうか?新たな希望の地を求めて旅立ちの準備をすることにしました。よろしかったらお付き合いのほどよろしくお願いします。

この世の果てまでイッてチャッキリ その6

第7章 嵐の前の嵐

 「やっぱり二宮君が一番演技力があるよね。」

日本でそんな話をしているとき、彼女の頭の中ではブリザードが吹きまくっていた。

「寒い、寒いよーーー。黒い雲と吹雪きで何も見えない。何のためにここまできたのよー。」

そう泣き叫ぶ自分の声で目が覚めた。

日食前日。起床は朝の4時。睡眠時間はレム・ノンレム2サイクルの3時間足らずだった。
空港ストライキはなんとか回避され、日食飛行機に乗るためエル・カラファテに移動する日だ。

「バスは回避した。第一関門はなんとかクリアだわ。」

ボロボロの体とパンパン張ったトランクを引きずりながら、空港へ向かった。
なんとか、エル・カラファテ行き飛行機にチェックインして自分の席を探した。

「どこだろう。観測場所と同じ窓際かしら。」

空港ストライキの余波を受けて急遽用意された移動代替機の彼女の席は、
窓際だったがエンジン以外何も見えない席だった。
しかも一番奥でトイレの前。

「最悪、、、。それになんか臭うわ。」

おそるおそる後ろの個室を覗き込んだが即座にドアを閉めた。

「た、耐えられない。絶対、二度と、生涯、まったく見たくない。」

その悲惨な光景は、たとえブログのサムネイル写真であっも掲載できるものではなかった。

「降りるまでガマンしよう。」

そう固く心に誓った。

寝不足が延々と続き、すでに3日間まともに寝ていない。体調は最悪。

「あ~~。しんどい。きっと日食もこの調子なんだろうなぁ。
 大体日食飛行機が故障したと電話があった時点で運命は決まっていたに違いないわ。」

2年連続敗退は確実かも。いつになく後ろ向きな考えが彼女心を支配して始めていた。
2時間あまりの不愉快なフライトを耐え抜き無事、ベースキャンプ地の都市エル・カラファテに到着した。
窓からの景色で外は何も見えないが、どうやら大雪ではないようだ。

やっと、ホテルに到着。ここでのツアーガイドは体のガッチリした中年のフォルランおじさん。
雪焼けした顔に日よけサングラスでガッチリした筋肉質の親しみ易い笑顔で好みのタイプだ。

「やあ、エル・カラファテへようこそ。トラブル続きで大変だったね。」

あぁ、少しは陽が差してきたかも。少しホッしたのも束の間。運命の一言が。

「飛ばないよ。」

「えっ!」

「故障が直らなくて予定していた日食飛行機は結局、飛ばない事になったんだよ。」

そんなぁ~。いくら笑顔で言われても全然うれしくないよぅ。
雲量80%だよ。地上からじゃ絶対無理だよーーー。
嵐の前の嵐、空はそんな様相を呈していた。
「ピタット君」の活躍の場は完全になくなった。

(続く)


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