みんなで星を見上げれば...

星を見ることを忘れてしまった人々の行く先に希望はあるのだろうか?新たな希望の地を求めて旅立ちの準備をすることにしました。よろしかったらお付き合いのほどよろしくお願いします。

この世の果てまでイッてチャッキリ その4

第5章 トランジットの恐怖

 殆ど寝ずになんとか荷造りを終えて時間ギリギリで関空の搭乗ゲートまで辿り着けた。
「はぁ、はぁ、、、、なんとか間に合ったわ。日頃の鍛錬は大事よね。
毎日一駅歩いてダイエットしてる甲斐があったわ。」
荷物は積載重量限界まで積み込んだためその細腕はパンパンに張っていた。

「でも機内で寝れば大丈夫。ここがスタートラインね。これから挽回しなくちゃ。」

座席に着き、ベルトを着用してようやく旅が始まった。
飛行機は無事離陸しベルトのサインが消えたところで、座席を少し倒し目を瞑って失われた睡眠時間を取り戻そうとしたが、激しい運動の後なので呼吸がまだ落ち着かない。体の興奮状態は続いていた。

小一時間が経ち、ようやく落ち着きを取り戻し少しウトウトしかけた所で機内アナウンスが「上海」到着を告げた。そう、マイレージをフルに使えるルートにしたため、選択肢が限られてしまい、上海で乗り換える必要があったのだ。また、移動だ。

それから上海→フランクフルト→ブエノスアイレスと小刻みな乗換えでゆっくり寝ている暇はなかった。
気がつけば48時間一睡もしていない。

「現地のホテルで爆睡したい、、、。」

ようやくアルゼンチンの空港に到着して、ほっと一息つけると思った。
荷物の混乱はなく非常にスムーズに受け取る事ができた。
「これだけ乗り換えて荷物がちゃんと着いてくるなんてはやり、持ってるわね。」
そして税関のゲートをくぐろうとしたとき、荷物チェックで悲劇は起こった。

「コレハ、アンデスカ?」

検査官が手にしたのは使うか、使わないかまだハッキリその存在価値を主張できない「ピタット君」だった。

「それはね、飛行機の窓からテブラで日食を撮るための秘密兵器なの。」

「テブラ?」

「そうテブラ。」

初めて目にするその物体に不信感を募らせた検査官はなんと、徹夜でトランクに押し込んだ荷物をすべて開けろと言い出した。

異国での女性の一人旅、ただでさえ注目をあびる状況なのに、融通の利かない検査官のせいで、さらに周囲の視線を集めるはめになった。日頃から注目を浴びるのには慣れているが、今回は苦痛以外のなにものでもなかった。

睡眠不足で意識は遠のき頭は回らず、ただ、ひたすら検査官の指示に従いお店を広げると、出るは出るは。
座席固定用のグニャグニャ自由運台、真っ黒いシ-トのついたかメガネらしき物体、同じく真っ黒い円形のガラス状の環らしきもの(NDフィルタ)、デジカメカメラ3台に交換レンズ、三脚、一脚、電波時計、携帯用電池ケース、
どうみても若い女性が観光旅行に持ち歩くものには見えない。
もし、石井さんの新兵器を持っていたら即座に強制送還されていただろう。

遠くアジアの片隅から、日食だけを見るためにはるばるやってきたことを
言葉もろくに通じない異国の公務員に理解させるのはほぼ不可能に思えた。

でも、まだ心は折れない。あらゆる状況はマイナスに働いているが、
昨年のリベンジに燃える心の炎は微かながら灯されていた。

そして、ようやく検査官の追求を逃れ、なんとかホテルに辿り着いた。
部屋に入り、なにげにTVをつけると目に入ってきたのは、

「日食当日のの天気は、“雪あらし”でしょう。」

と告げるアナウンサーの姿だった。
それを見た瞬間、その場で腰から砕け落ち、薄れ行く意識の中で頭に浮かんだのは、なぜか
「♪~夏が過ぎ風アザミ、、私の心は夏模様、、、♪~」
という夏の定番メロディーだった。

そして、そのまま朝まで気を失ってしまった。

(続く)
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